chap4.html 音楽情報処理 第4回

音楽情報処理


第4回:楽音合成(シンセサイザ)(5/10実施)

目標

代表的な楽音合成方式として以下の方式の原理と特徴・出音について理解する。

事前準備

今回のポイントは「楽音合成」、授業ではMAXを使ったデモを中心に説明をしていきますが、オンラインビデオ講義では音の違いが十分に伝わらない可能性があります。また、時間内で聞いてもらうことができる音源も限られますので、以下の【必聴】のものについて必ず視聴するようにしてください。
     
  1. 音楽作品での使用事例
    聞きやすく、みなさんにも馴染みがあろうものをピックアップしています。
  2. PCM音源
    所望の楽器のピッチの楽音をPCM方式で記録したものである。基本的に、(非圧縮)wavファイルと同様の方式によって波形をデジタル化(データ化)したものと考えてよい。音源の品質は使用されるメモリのデータサイズの制約を受ける(聴き比べサンプル:MacOS標準MIDI音源【必聴】 Garritan Steinway音源【必聴】)。そのため、時代ととともに自然楽器音をサンプリングした高品位の音源が多数利用できるようになってきた。他の楽音合成方式と比べると音作りの自由度は少なかったが、DAWの発展とともにその課題も解決されつつある。サウンドフォント(拡張子は.sf2)とよばれるフリーで流通している音源もある。
  3. 加算方式シンセサイザ
    フーリエ理論によれば、楽器の音色は複数のハーモニック・パーシャル(調波あるいは整数次)倍音に分解することができる。加算方式シンセサイザはこの原理に基づいた楽音合成方式であり、自然楽器ではパイプオルガンの音色がこの原理により調音されている。計算機の性能向上により、現在では、ソフトウエアによる合成が可能となっている。
  4. 減算方式シンセサイザ
    加算方式シンセサイザでは所望の音色を得るためには多数のオシレータ(発信器)が必要になる。このことは電子音源が使われ出した当初、小さくない問題であった。これに対し、矩形波やのこぎり波(sawtooth)は比較的シンプルな電子回路によって合成可能であり、これら波形やノイズに対してフィルタ処理(こちらも比較的シンプルな電子回路によって構成可能)を施して楽音を合成していく手法として発展してきた。Moogに代表されるアナログシンセサイザとして登場、(デジタル)電子回路による専用ハードウエアを経て、現在では、他の方式と同じく、ソフトウエア音源として利用可能になっている。
    (以下、Massive(3オシレータの減算合成方式シンセサイザー)を用いたサウンドデザインサンプル動画。ノートON, OFFにおける音の処理に関連したADSR (Attack, Decay, Sustain, Release)の制御に関するお話、リバーブやコーラス等のエフェクト等、シンセサイザの動作を理解するのに必要な用語も含まれている。必聴)
  5. <興味を持った人向け> <さらに興味を持った人向け>
  6. FMシンセサイザ
    減算方式のところでも述べたが、オシレータの数を少なくして価格を下げていくことは、特に、商用では大きな課題であった。FM方式はフィードバックループの導入によって圧倒的に少ないオシレータで複雑な音を作ることが可能となった。1980年代の電子音源として脚光を浴びた。

課題

本日中に以下の課題をまとめたミニレポート(pdf、2ページ以内)を提出する。
  1. 電子音がうまく活用されている楽曲(できれば自身が好きなもの)を取り上げ、そこで使われている音がどのようにして作られているのかについて考察せよ。
  2. 授業内で提示する課題を解け。

2024.4.13
katayose@kwansei.ac.jp